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kgo Orchids Serviceの加藤誠が趣味花「蘭」について語るブログ

趣味花の品種改良についての私見

   

またひと月空いてしまいました、殆ど生存報告並みのブログ更新になって参りましたが、最初から不定期更新と言ってあります、私は悪く有りません(笑)

最近はヤフオクのスケジュールなども掲載してありますが、正に休む間もない殺人的スケジュールが続きます。

秋シーズンにサプライヤー訪問やイベント訪問などをして来ましたが、2花程、これは面白いという品種改良例を見て来ましたので、こちらに掲載しようと思います。

Paph. King Charles ( Wawona Maiden x charlesworthii )

そういう訳で、自分が得意な分野パフィオペディラム、今回は charlesworthii を改良した品種の紹介です。

こちらは今月初めにあった晴海トリトンクェアの蘭展で出品されていた個体です。

Wawona Maiden = Hellas x charlesworthii 銘花ヘラスにチャーレスウォーシーを掛け合わせたノベルティー交配。

これにもう一度 charlesworthii を戻した交配が King Charles になります。

組成としては3/4がチャーレスウォーシー、1/4がヘラスになりますが、花サイズ以外は完全にチャーレスウォーシ-になった例です。

パフィオのコンプレックスは近年「実用花」として完成の域に到達していると思いますが、反面同じ顔をした花ばかりになります。

趣味としてはそれでは面白くないので、こういった原種の姿を残した交配が面白いと感じるようになって来ました。

恐らく、Wawona Maiden の作出者が考えたであろう結果が次世代で生まれたという事でしょう。

Paph. Coconut Western 'Superior' ( Western Sky x Coconut Candy )

こちらは茨城にオーナー訪問した時に見た花、一見 charlesworthii の様に見えますので下が普通のチャーレスウォーシーとの比較です。

正にでかいだけのチャーレスウォーシー、先程の King Charles と比べて組成はもう少し複雑。

Western Sky =Yerba Buena x charlesworthii、Coconut Candy = Elfstone x charlesworthii

何方もグリーン整型大輪花とチャーレスウォーシーとの交配で、この2つを組み合わせて、思いっきりチャーレスウォーシーに偏った結果が出た例です。

前出の King Charles と比べて、昔の同種を思わせる素朴な花色と花型、ステムが短いのがたまにきずですが、半分がグリーン花の組成であるとは思わせない異色の結果、隔世遺伝の面白さを存分に発揮した個体でしょう。

私見としての趣味花の定義として、花は大きくなければならないとは限らないと言いはしましたが、こういう結果を見ると「花が大きい事はいい事だ」とやはり思います。

 Cocnut Western の株姿を参考に掲載しますが、前出の King Charles と同じく、非常にチャーレスウォーシーに似た株姿です。

何れもこういった個体が出現する確率はお世辞にも高いとは思いません、これが本来の趣味花としての品種改良の醍醐味だと思います。

登録者を調べると、何方もプロが行った交配、こういう歩留まりが悪く・気の長い交配と言う物は本来はアマチュアがやるべき「遊び」の交配と言えるでしょう。

 - 蘭の楽しみ